生活のなかに小さな愉しみが生まれますように
タオルとあなたのWebメディア

予防にも改善にもタオルが味方!低気圧による「天気痛」のメンテナンス方法

2022.03.18

使う

どんより雨の日には頭痛がしたり、めまいがしたり、妙に気分が落ち込んだり。もしかするとそれ、「天気痛」かもしれません。

気象の変化により、否応なくやって来る天気痛。仕方ないことと諦めがちですが、予防にも、改善にも役立つのがタオル!その方法を教えてくれるのは、天気痛診療の第一人者・佐藤純先生です。

天気痛ドクター・医学博士

佐藤 純先生

名古屋大学環境医学研究所、名古屋大学教授を経て、愛知医科大学病院で日本初の「気象病外来・天気痛外来」を開設。東京・竹橋クリニックでも同外来医として診療を手掛ける。天気痛研究・診療の第一人者として著書やメディア出演も多数。近著は『ビジネスパーソンのための低気圧不調に打ち勝つ12の習慣』(‎ディスカヴァー・トゥエンティワン)。

名古屋大学環境医学研究所、名古屋大学教授を経て、愛知医科大学病院で日本初の「気象病外来・天気痛外来」を開設。東京・竹橋クリニックでも同外来医として診療を手掛ける。天気痛研究・診療の第一人者として著書やメディア出演も多数。近著は『ビジネスパーソンのための低気圧不調に打ち勝つ12の習慣』(‎ディスカヴァー・トゥエンティワン)。

気圧の変化が自律神経を乱すストレスの要因に!

そもそも天気痛とは、気象の変化によって生じる不調のこと。頭痛やめまい、古傷の痛みといった体の不調だけでなく、妙に気分が落ち込むといったメンタル面の不調も天気痛のひとつです。まずはぜひ、下記のチェックリストを試してみてください。当てはまる数が6個以上だと、天気痛の可能性があります。

◎天気痛チェックリスト
□天気の変化に敏感で、雨が降ることがわかる
□新幹線や飛行機に乗ったときに耳が痛くなりやすい
□乗り物酔いをしやすい
□頻繁に耳鳴りがする
□耳抜きが苦手
□「台風が来る」というニュースが気になる
□天気によって気分の浮き沈みが左右される
□春や梅雨などの季節の変わり目に体調を崩しやすい
□暑い季節はのぼせやすく、寒い季節は冷えやすい
□雨が降る前に眠気やめまいを感じる
□雨が降る前に頭が痛くなる
□肩がこりやすい
□むち打ちなど首を痛めたことがある
□骨折などの大きな怪我をしたことがある
□偏頭痛もちである

天気痛を引き起こす気象の変化、それは主に気圧の変化です。天気が崩れる前には気圧が低下し、その動きを体が感知。気圧の変化を感知しているのが耳の奥にある内耳(ないじ)という器官ですが、天気痛が起こりやすい人は、内耳の感受性が高い傾向にあるのです。

内耳が感知する気圧の変化は、ひとつのストレストリガー。特に内耳が敏感な人にとっては大きなストレスとなります。そしてストレスが引き起こすのが、交感神経と副交感神経から成る自律神経の乱れです。

緊張や興奮状態のときに優位に働くのが交感神経ですが、交感神経はストレスに対しても活発に働きます。気圧の変化というストレスに対して交感神経が活発に働きすぎる結果、副交感神経との然るべきバランスが乱れてしまうのです。

自律神経は体のあらゆる器官を司り、メンタルにも影響を及ぼします。そのために自律神経が乱れると身体に痛みが出たり、気分が落ち込んだり倦怠感や喘息、更年期障害といった症状が強く出ることもあります。これが天気痛の正体です。

 

ストレートネック解消にも!天気痛予防のタオル体操

では、天気痛を予防・改善するにはどうすれば良いのか。答えのひとつが首にあります。なぜなら天気痛の患者さんの多くに、ストレートネックが見られるからです。

首は7つの骨から成る頸椎でできています。頸椎は本来、緩やかなアーチを描いていますが、ストレートネックは文字通りまっすぐ。首が突っ張った状態となり、特に天気痛の患者さんの場合には、頸椎の上から1番目、2番目の可動性が悪い傾向にあるのです。

これを改善するには、可動性の悪くなった部分をほぐすこと。首を前後させたり、伸ばしたり、体ひとつでもストレッチは可能ですが、本来のアーチを復活させ、頸椎の1番目、2番目に作用させるには、フェイスタオルを使ったタオル体操が有功です。

◆頸椎のアーチを復活させるタオル体操(1~4の繰り返しを3セット)

1.タオルの真ん中が首の中央に当たるようにタオルを首にかけ、両端を持つ。

2.両手に持ったタオルを斜め45度に引っ張り上げ、目線も斜め上に。

3.タオルに首を預けるように全身の力を抜き、ゆっくり10秒呼吸をする。

4.タオルの位置も力を抜いた状態もそのまま、顎を上下させるように10回頷く。

◆頸椎の1番目、2番目をゆるめるタオル体操(1~3を左右3セット)

1.タオルを首にかけ、肩から下りる生地が短いほうの端を手で持って固定する。

2.空いた手で反対側の端を持ち、耳後ろにある出っ張り(乳様突起)に引っ掛ける。

3.タオルを頭蓋骨に沿わせるように斜め60度に引っ張り、そのまま10秒キープする。

 

予兆に気づくには、体と天気の連動を知ること!

タオル体操は天気痛の予防にはもちろん、不調の兆しを感じたときにもおすすめです。天気痛の要因である気圧の変化は、私たちにはコントロールできません。だからこそ、「これは調子が悪くなりそうだぞ」という、不調のシグナルに気づくことが大切です。

不調のシグナルに気づくために推奨しているのが、ちょっと面倒でも「痛み日記」を付けること。その日の天気や気圧の状況、ご自身に生じた不調や痛みの強さ、症状が出たタイミングや薬の服用、さらには運動の有無や睡眠の具合を日ごとに記していくと、自分の体と天気がどう連動しているのか見えてきます。

すると天気図を見ただけで「これは天気痛が来るぞ」と予想でき、タオル体操のような備えができます。備えを安心材料に精神を安定させることも、天気痛の大事な改善策なのです。気圧変化の分かりやすい目安として、ウェザーニューズでは私が共同開発した「天気痛予報」アプリも配信されています。これも参考にしてみてください。

そして何より大切なのが、規則正しい生活。起床後にはまず日光を浴び、朝食もしっかりと3食をとる。日中には軽い運動をし、質の高い睡眠をとりましょう。自律神経は本来、日中の活動時に交感神経が優位に働き、休息すべき夜に副交感神経が優位に働くのが基本です。規則正しい生活を送ることは、自律神経のバランスを保つのに欠かせないのです。

 

痛いときはホットタオル、日常的にはタオルマフラー!

それでも天気痛が起きたときには、ここでもタオルが活躍します。水に濡らし、軽く絞ったタオルを耐熱袋に入れ、1分ほど電子レンジでチン。こうして温めたタオルを耳の周りに当ててみてください。耳周りの血液やリンパの流れがスムーズになり、天気痛と密接に関係する内耳のむくみが緩和。症状が緩和されます。

耳周りを温めることもそうであるように、天気痛の予防・改善には、血流を良くすることが効果的です。そこで耳周り以上に多くの血管が通っているのが首。首回りの血流が滞ると、天気痛とは無関係に頭痛が生じやすくなります。

特に夏は夕立や台風といった気象の変化、つまりは気圧の変化が起こりやすく、さらには冷房によって体が冷えやすい時期です。冷房の風は上から吹いてくるため、特に首は冷えがち。天気痛をお持ちの人もそうでない人も、日常的に首を冷やさないようにしましょう。

そのためには意識的に襟付きの服を着たり、スカーフを巻いたり、テレワークが普及した今なら、首にタオルを巻いていても周りの目は気になりません。人は心地良さを感じると、“幸せホルモン”とも呼ばれるオキシトシンが分泌されます。肌触りの良いタオルを首に巻けば、冷えの防止とともに、ストレス緩和も期待できるかもしれません。

Illustration|oyasmur
Text|Kyoko Oya

関連する読み物

検索 facebook twitter instagram カート