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知る
2020/07/31

#お題はタオル「タオルのタは多幸のタ」

#お題はタオル「タオルのタは多幸のタ」

みなさんは「タオル」というと、どんなイメージを思い描きますか?

「ふわふわ」「あたたかい」「優しさ」「涙」――。

楽しいときも辛いときもそっと傍らにあるタオルを題材に、リレー形式のエッセイを連載をはじめます。

第一回はライターの長田杏奈さんのお話です。

 

 

***

 

 

「出産祝い、何がおすすめですか?」と訊かれたら、迷わず「バスタオル!」と答える。春夏生まれならサラサラのガーゼタオル、秋冬生まれなら毛足の長いふかふかのタオル。生まれたてほやほやの肌をようこそとやさしい触れ心地で迎えられるように、自分で買うのは躊躇われるような、ちょっといいタオルを選んで贈りたい。

何かと汚しがちで汗っかきな赤ちゃんのシーツやお布団の代わりにしたり、おくるみにも使えるし、お出かけのときはベビーカーの膝元にかけることもできる。子育てについて私がだれかにアドバイスできることは少ないが、これだけは自信を持って断言できる。子どもが小さいうちにバスタオルは何枚あってもいいものだ。

人間だったら70歳を超えるあたりという老犬が、去年の夏に大きな手術をした。小さな体に輸血をしながら臓器を一つといくつかの病変を取り除く、もう二度と会えない覚悟が必要なオペだった。

家の中では風通しのいい場所やふかふかと柔らかな場所を目ざとく見つけてくつろいでいた愛犬が、病院では後脚と前脚にそれぞれ点滴をされ、狭くて硬いケージで力なく横たわっていた。このまま家に帰れないかもしれない愛犬が不憫で、先生に頼んで清潔なふかふかのタオルを差し入れた。タオルのやわらかさや温もりが、苦しみや心細さを少しでも和らげてくれるように。薬の匂いが鼻を刺す空間で、懐かしい我が家の匂いを感じて安心できるように。

 

あれから1年が経ち、医師に「三途の川を渡りかけた」と言われた愛犬はとても元気で、なんの心配もいらないふかふかのタオルの上で満足げにコロついている。

すごく忙しいときや、たった今のこのコロナ禍の状況のように気晴らしに出かけることが難しいとき、私は寝具とタオルを見直すことにしている。ストイックに余白を切り詰めざるを得ない日々にあっても、頬ずりしたくなるすべすべのシルク毛布、程良い重みの布団を包んだウィリアム・モリスの「いちご泥棒」(森の中にいる気分になれる!)柄のカバー、アスリートがおすすめする具合の良い低反発枕など力を借りれば、布団に入った瞬間から目覚めるまでは圧倒的な心地良さが保証される。

顔や手や髪を洗ったりお風呂に入ったりするというルーティンのあとに、ふかふかの柔らかなタオルにもふっと包まれるご褒美が用意されていれば、悩みや愁いで曇っていても「あー気持ちいい♪」が勝つ。例えほんの一瞬の出来事だとしても、感触の快が日常の要所要所にあるのとないのとでは、コンディションの整い方がかなり違う気がする。私にとって寝具とタオルの見直しは、暮らしの基盤のコンフォータブル指数を底上げする、セルフリトリートなのだ。

見ても触れても百発百中かわいい赤ちゃんや犬は、多くの人にとって「大切に慈しもう」という気持ちを触発されやすい存在だ。その赤ちゃんや犬を愛でるような気持ちを、そろそろと自分の体に向けてみる。成長した人間は、たいてい赤ちゃんのようにいたいけでも、犬のように愛くるしくもない。けれど、たったひとつの自分の体をふかふかのタオルで包むひとときがあれば、どんなにパッとしない一日も最終的になんだかんだやわらかくホッとするものに感じられてくるのだから、ちょろいものだ。

長田杏奈さん

ライター

長田杏奈さん

1977年、神奈川県生まれ。中央大学法学部法律学科を卒業後、ネット系企業の営業職を経て週刊誌の契約編集者に。フリーランス転身後は、女性誌やWebメディアで美容関連のインタビューや、海外セレブの記事などを手がける。著書に『美容は自尊心の筋トレ』(Pヴァイン)。「おさ旦那 」の名前で発信しているSNSが人気。

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