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こだわりのタオルを届けたいーー寝具の老舗・西川の新しい挑戦

2021.12.15

作る
こだわりのタオルを届けたいーー寝具の老舗・西川の新しい挑戦 こだわりのタオルを届けたいーー寝具の老舗・西川の新しい挑戦

1566年に創業し、布団や枕など、寝具の老舗として知られている西川株式会社。実は、こだわりが詰まったタオルの開発・企画をしていること、ご存知でしょうか。なぜ、タオル業界に参入したのか、西川社員が語ります。

西川タオルwatairo

 

安藤咲(左)、三田村哲也(中央)、銭岡幸奈(右)

西川株式会社 東京オフィス

安藤咲(左)、三田村哲也(中央)、銭岡幸奈(右)

デザイナーの安藤と、タオル担当の三田村、銭岡。三田村はタオル開発に関わること10年以上。西川に入社した理由は「いい寝具で寝たいから」。安藤は大学でプリント技術を学び、テキスタイルデザイナーという職に惹かれて入社。銭岡は百貨店の営業などを担当した後タオル担当に。一児のママ。

デザイナーの安藤と、タオル担当の三田村、銭岡。三田村はタオル開発に関わること10年以上。西川に入社した理由は「いい寝具で寝たいから」。安藤は大学でプリント技術を学び、テキスタイルデザイナーという職に惹かれて入社。銭岡は百貨店の営業などを担当した後タオル担当に。一児のママ。

久米由希子(左)、永美佳容子(右)

西川株式会社 大阪オフィス

久米由希子(左)、永美佳容子(右)

永美は12年入社、久米は19年入社。ともに大阪オフィスで、PEANUTSなどのキャラクターもののタオルを手がける。

永美は12年入社、久米は19年入社。ともに大阪オフィスで、PEANUTSなどのキャラクターもののタオルを手がける。

455年ものあいだ受け継がれる、西川の心

西川株式会社の創業は1566年。なんと世は、桶狭間の戦いで今川義元の首をとった織田信長が安土城を築き、楽市楽座を開始したころ!西川家初代の西川 仁右衛門(にしかわ にえもん)は、数え年19歳で、近江で商売を始め、蚊帳や生活用品の販売業が西川のルーツとなります。

西川の歴史資料

脈々と商売は受け継がれ、主力商品となる布団の取り扱いを始めたのは、1887年のころ。それまで「夜着」という着物に綿を詰めたようなものが寝具として使われており、綿布団は高級品だったそう。しかし、生活必需品としての可能性を見込んで取り扱いを開始したと伝えられています。

そして、戦後は「合繊わた」を使った洋ふとんを生み出してブームを巻き起こしたり、日本初のチェーン展開を開始したりと、寝具業界を率いる存在になりました。

ちなみに、長い歴史のなかには面白トリビアも。日本で初めてボーナス制度を導入したのは西川なんですよ。江戸時代に、近江商人の西川家が、賞与を年に2回与えていたという記録があります。

 

そんな歴史ある西川が、なぜタオルを?

ーーそんな歴史ある西川がなぜタオルを作ることになったのか、ぜひ教えてください!

三田村:西川といえば寝具というイメージだと思います。もともと寝具のひとつのアイテムとして、タオルケットの製造・販売を手掛けていましたし、かつてはブランドのライセンスを持っていて、そのなかでタオルを扱うこともあったので、今治のタオル工場とのつながりはあったんです。でもある時、大事件が起きて…。

ーーだ、大事件!?

三田村:主要ブランドのライセンス契約がなくなってしまったんです。売り上げの面でも、緊急事態でした。

ほかのブランドとの契約も模索したものの、最終的にはブランドに頼るのではなく、新たな自社ブランドを立ち上げる必要があるだろうという結論に至りました。

西川社員三田村が語る

――そんな背景があったんですね。

三田村:そして同じ1990年代、今治のタオル工場も苦しい状況でした。中国製タオルが台頭し、今治産タオルの需要が少なくなっていて。そこで、もともとのつながりを生かして、西川ブランドのタオルを開発しようという流れになったんです。

ーーなるほど、「脱ブランド」の動きから始まったわけですか。

三田村:はい。とはいえ、タオル業界では私たちは後発。戦略を立てるため、使ってくださる方がどういうタオルを必要としているのか、100名にアンケートを取る大規模な調査を行ったんです。

見えてきたのは、消費者は肌触りと吸水性、そしてデザイン性を求めているということ。そのうえで、安心・安全、品質の良さもニーズとしてあることが分かりました。

安藤:それまで冠婚葬祭の贈り物でいただいたタオルを使うということが多かったのですが、自分のお気に入りのタオルを見つけて、それを愛用する消費者が増えていることも分かって。だからこそ、風合いや使い心地にこだわったタオルを作ろうという運びになりました。

西川社員安藤が語る

 

「三方良し」の精神で生まれた<watairo>と<moussepuff>

ーー生活者ニーズから探ったのが面白いですね。

銭岡:いつの時代も、西川のルーツである近江商人の「三方良し」の精神を大切にしてきたからだと思います。「商売において売り手と買い手が満足するのは当然のこと、社会に貢献できてこそよい商売といえる」という考え方で、もの作りに取り組んできましたから。

三田村:そうそう、それは寝具もタオルも変わらない想いです。そうして生まれたのが<watairo(わたいろ)>というラインナップです。普通は商品の企画から販売まで半年くらいのサイクルで動くのですが、初めての自社ブランドということで、2年近い時間をかけました。

安藤:<watairo>は特に柔らかさにこだわりました。また、今治の美しい桜をイメージしたピンク、瀬戸内海の空と海を表現したブルー、そして石鎚山の白い雪のホワイトの3色展開で、柔らかさが伝わるような色合いにしています。

西川タオル・watairo

三田村:イメージの色に近づけるために、メーカーさんには根気よく付き合っていただきましたねぇ…。<watairo>はいろんな肌触りを用意していて、<ゆいわた><あまわた>と、発表当初、6種類そろえました。

ーー本当に柔らかい!これは確かにクセになりそうです!

安藤:moussepuff(ムースパフ)>というラインナップも同時期に発表しました。使い心地がよく、機能性にすぐれた商品です。

西川タオル・ムースパフ

三田村:これ、洗ったら膨らんでいくんです。特殊な糸で織っていて、洗えば洗うほどふわふわになるタオル。機能性に、南仏をイメージしたデザインをあわせたブランドとして展開しています。

銭岡:個人的には<moussepuff>が一番好きですね。この使い心地の良さをもっと多くの人に知ってもらいたいです。値段はお安くはないのですが、そのぶんの価値があると自信を持って言えます。

西川社員・銭岡が語る

ーーほかに、生活者ニーズから生まれたタオルはありますか?

三田村:部屋干し需要に対応して開発した<HAREYAKA TOWEL>ですね。抗菌効果のあるわたを混紡したオリジナルの糸を用い、部屋干し臭の原因であるモラクセラ菌の増殖を長く抑えるタオルす。
また、部屋干ししても違和感のないお色味で展開し、ハンガーに掛けやすいサイズを追求しました。

 

PEANUTSやミッフィー…キャラクターのタオルに込める想い

ーー永美さんや久米さんも「西川のタオル」を語っていただけますでしょうか。

永美:私は、PEANUTSやミッフィーなどキャラクターもののタオル企画・製造を担当しています。キャラクターものはデザインが命。キャラクターのファンの方のツボにはまるデザインをつねづね考えています。

ーーツボにはまるデザインですか。

永美:はい。膨大なデータのなかから、もっともかわいく見えるもの、どんな色をつけるか、どんな配置にするのか…こだわっています!

久米:永美さんと同じくキャラクターの企画を担当しているのですが、「かわいい」という言葉を使いながら仕事ができるのは楽しいですね。

永美:そうですね。そして品質の良さも追求しているのが「西川のタオル」だと思います。

西川・PEANUTSタオル

 

「布団の西川」から「タオルも西川」へ。挑戦は続く!

ーーぜひ今後の展望を教えてください!

銭岡:個人的な想いもあるのですが、私は去年出産をしたんです。そのときに、子どもを一人でお風呂にいれる、いわゆる「ワンオペ風呂」が本当に憂鬱で!でも、柔らかいタオルで体を拭いて、ふかふかなバスローブを着ると、お風呂上がりも楽しくなることに気づきました。この経験を生かして、ワンオペ風呂のお助けグッズを作っていきたいです。

三田村:我々が作っているアイテムを、もっと多くの方にぜひ一度使ってもらいたいですね。そして「布団の西川」から「タオルも西川」と呼ばれる日を目指していきたいです!

談笑する西川タオル担当

オススメのタオル

こだわりのタオルを届けたいーー寝具の老舗・西川の新しい挑戦

watairo(わたいろ)
頬ずりしたくなるほどの柔らかさの<watairo>シリーズ。今治の美しい桜をイメージしたピンク、瀬戸内海の空と海を表現したブルー、そして石鎚山の白い雪のホワイトの3色展開で、柔らかさが伝わるような色合いです。

moussepuff(ムースパフ)
特殊な糸を用い、洗えば洗うほどふかふかに膨らむタオル。機能性に、南仏をイメージしたデザインをあわせたブランドです。

※商品情報は記事公開時点のものです。

Photo | Eichi Tano, Ryo Tsuchida(PEANUTS), Kasumi Osada(moussepuff), Kenji Yamada(watairo)
Text | Naho Sotome

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